中東・ネットスーパーレポート No.8

「キャップ」の撤廃をお勧めします!

初めてチェーンストアさんのネットスーパーと遭遇した時、幾つかの違和感を感じたモノでした。その中で、全く意味の解らなかった概念が「キャップ」です。

会員様の受注を制限する、考えても見ない手法でした。余程、業績が絶好調なのか?と受け取った次第です。事実、その頃に流れた情報に、イトーヨーカドーのお客様は先ず<座席>を予約する。でないと、キャップに掛かって注文出来ない。そして、<追加>で本来の注文をする、というヨーカドーさんの「キャップ」賛美論でした。

主として、マーケティング論から語られるこうした「キャップ」論は、結局<売手市場>の論理です。マーケティングそのものが、売手市場を創造する手法ですから、頷けることではありますが・・・・。

一方、ネットスーパー業界の現状は、<売手市場>どころか<買手市場>であり、お客様から逆選別されているのが真実の姿です。何から、逆選別されているのか? リアル店舗から、ネット通販から、ネットス-パーの同業者から、そして、何よりも、生協宅配から、逆選別されています。完全に、お客様が主導権を握る<買手市場>である事を認識すべきです。

大いなるボタンの掛け違いをしていると言わざるを得ません。このままでは、ごく少数の<ネットスーパー愛好者>だけが利用する隙間狙いの、魅力ない業態と化していきそうです。

事実、生協宅配17,000億円vsネットスーパー1,200億円という数字は、リアルの勝ち組の総力を結集しての数字ですから、この危険性を物語っていると思えます。

又、経営の効率化の観点からの「キャップ」擁護論も、多く見られるようになって来ています。物流の平準化が、一番の理屈です。ネットスーパーの最大の経費は物流(配送・梱包・ピッキング)ですから、その平準化こそが、効率化の最大の手法であると言うモノです。一見、頷ける理屈ですが、大きな落とし穴があります。

効率化の前提は、十分な売上規模があって、その上で更なる利益を拡大するモノです。ネットスーパーの現状は、決して、そのようなモノではありません。思うように売上が取れない、黒字化が見えない、という状況のなかで、売上拡大に逆行する経費削減策としての平準化は、有効な経営手法ではありません。一時的な対処療法ではないでしょうか?

「キャップ」を採用する理由は、他に幾つもあるようです。

  1. 配送を委託しているので、急には、台数を増やせない。
  2. ピッキングは変動がありすぎると、店舗の人時生産性が低下する

どれもが、現状を維持したいが故の「キャップ」擁護論です。

「キャップ」がある為に、出来ない事も多々あります。

  1. 会費制を採用したいが、会費を頂いていて、注文を断れない
  2. 配送料の有料化をしたいが、払うと言っている会員様を断れない
  3. 委託業者が、これ以上の件数を受けて呉れない

先日、サンシの現場学会を実施して、

  1. 1便500件をどのようにオペレーションしているか?
  2. 何故、1便500件もあるのか?

を、勉強して来ました。その折の高倉会長の言葉、<お客様の注文があれば、何としても受けるのが当り前だ>が、全てを物語っていると思えます。

「キャップ」を撤廃するのは、モノ凄くバーの高い仕事ですが、やり遂げる価値のある仕事でもあります。

以上。

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